勤務先の決断

次の日、うすうす気づいているだろう師長にまずことの流れをすべて話した。

黙って頷きながら聞いてくれて、とりあえず上のものにざっと話して、話し合いの場をもうけてくれることになった。

その日の夕方から、私と師長、それに事務長と管理部長との四人で集まって、今までの経過をすべて話した。

事務長はもともと銀行で働いていた人だけあって、破産にはあまりいい顔をせず、借りたものは返すのが本来あるべき・・

などと言っていたが、私もそのつもりでやってきましたが、どうしても無理だから弁護士さんに相談しに行ったんです、と言うと、それ以上は言わなかったけど、口座を変更するのは銀行と提携を結んでいるので難しいとのことだった。

師長は、この子に辞められるとけっこうな痛手になるのでなんとかなりませんか?と頭を下げてくれたけど、管理部長の意見はさっぱりしたものだった。

口座を変えるのは、この通り難しい。

手渡しということになっても、あなたが気まずい思いをするだけじゃないかしら。事務の子達はなぜこの人だけ手渡しなんだろうと興味の目を向けることになるし、電話が頻繁にかかってきてたことによってすでに不審に思っている人だって実際いると思うしね。

私はあなたがそんな思いをしてまでここに残る必要はないと思うんだけど・・・。

あなたは幸いまだ若いし、次の仕事もすぐに見つかるわよ。有給も残ってるみたいだし、来週からお休みして、新しいお仕事を探してはどう?

口調はおだやかだけど、つまりはクビ宣言。

二週間の猶予をやる。その期間は在籍っていう形にしてやるからその間に仕事探せよ。

そう言ってるのと同じだった。

破産を理由に会社はその人をクビにはできないっていうのに、私は破産する前からクビになってしまったわけだ。

おかしすぎて笑いも涙も出ない。

あーそーかい。だったら辞めてやるよ!さっさと銀行口座なんて解約だ。

『わかりました。でしたら結構です』

口から出た言葉は、自分でも驚くほど冷ややかだった。

『最後のお給料は手渡しを配慮するわ。取りに来てくださいね』

返事をする気にもならなかった。

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